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デザインの見かた講座(全5回)

講師:丸山貴明(東洋美術学校デザイン研究室専任講師)
講師:中村将大(東洋美術学校デザイン研究室専任講師 産学連携事務局ディレクター)
日程:2015/11/7(土)、11/24(土)、11/28(土)
会場:Impact Hub Tokyo

いいデザイン、悪いデザインとは何なのか?デザインとはそもそも何?という疑問を解決するための入門講座。最初に基礎知識のレクチャーを受けた後は、グループに別れておいしそうなデザインとおいしくなさそうなデザインを探す「デザイン採集」フィールドワークへ出かけたり、課題の成果を発表し講評を受けたり、色々な角度からデザインを考える盛りだくさんの内容でした。仕事でデザインを発注する際の判断基準が知りたい、デザインの仕事をしているけれど授業を通して色々な人の考え方を聞いてみたかったという人など、多くの参加者が集まりました。
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まずはレクチャーでデザインを知る

「デザインとはなにか?」を普段よく目にする身近な事例から学ぶレクチャーからスタート。馴染み深い商品のロゴなどから、デザインの基礎的な要素である色・文字・イメージについて理解を深め、それらの具体的な使用例と人にもたらす印象の違いを学びました。
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『デザイン採集』フィールドワークでデザインを考える

スライドを見ながらレクチャーを聞いたあとは、街へ出て身の回りにあるパッケージデザインについて考察するグループフィールドワーク。先生からは「今までに飲んだことのない清涼飲料水で、パッケージを見て『おいしそうな飲み物』と『おいしくなさそうな飲み物』を判断し購入してきてください」と課題が出されました。グループに別れ、教室を飛び出してデザイン採集。3つに別けられたグループは、コンビニ、酒屋、スーパーマーケットなど思い思いの場所で「おいしそう」に見えるかどうかを基準に普段は素通りのパッケージデザインを熟考。どのグループも、とても真剣かつ楽しそうに取り組んでいる姿がみられました!
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プレゼンテーション&講評でデザインがより身近に

2時間目はグループごとに、選んだパッケージについての発表、そして先生による講評。商品の入っている缶やペットボトルの形と質感、文字の色や配置、イメージ画像の使い方など、とても鋭い視点のプレゼンテーションには先生二人もびっくり。さらにどうしたらよいデザインになるかという意見まで出てきて、身近なものを題材に、デザインの理由や目的を考える第一歩を踏み出しました。
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デザインボードから分かったことは?

初日の終わりに持ち帰り課題として、デザインのイメージをさらに分解する「デザインボード」の制作が出されました。それぞれ『高級』と『カジュアル』という2つのテーマのうちどちらかを選び、既存の雑誌や広告からテーマに沿った色・文字・イメージを切り取り一枚のボードに並べるという内容。
二回目の授業で全員が作成して来たものをいっせいに並べてプレゼンテーションをしていくと、同じテーマのデザインが持つ共通項、そして、同じ色や文字を使っていてもレイアウトや組み合わせ次第で一概に『高級』『カジュアル』に分けられないなど、デザインのルールの基本と応用を学びました。
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最終課題!商品をリデザイン

いよいよ最終課題では、3つのグループごとに、馴染みのある市販の食品を『高級』バージョンと『カジュアル』バージョンに新商品としてリデザインすることに挑戦。自分たちで作ったデザインボードを見ながらアイディアを出し合い、活発な議論が繰り広げられました。
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デザインの見かたを実践する

最終課題は、「新商品を社内の商品企画部へ提案をするデザイナー」という設定で各グループ、デザインのコンセプトとその理由を発表しました。先生はもちろんのこと、他グループのメンバーたちも、お互いの説得力あるプレゼンに盛り上がり、積極的にデザイン案へアドバイスする場面も。先生の「デザインはテクニックが大事だと思われているけれど、実は今回のような『考え方』や『プロセス』の部分が重要」という言葉はとても印象的でした。全5回の実践的なデザイン体験を通して、仕事にも生活にも生かせるデザインの見かたを手にいれたのです。
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◆◆受講者の声◆◆
営業企画としてデザイナーに商品の発注をすることがあり、客観的にデザインを説明したり判断できるようになりたいと思い参加しました。これまで専門的にデザインを勉強したことはありませんでしたが、先生の説明が分かりやすく、文字や色といった基本的な知識が身につきとても良かったです。 (営業企画・30代男性)
授業を受ける前まで持っていた「デザインはおしゃれなもの」というイメージが払拭されました。課題とレクチャーを通して、目的やターゲットに合わせてどのようなデザインがされているのか、ものをより深く見る目が養われたと思います。(販売・20代女性)
アクセサリーの企画をしているのですが、デザインの「考え方」の部分がわかり、自分なりに選んでいた色や素材を論理的に説明できるようになりました。もっともっとデザインについて学んでみたいです。(デザイン関係・30代女性)

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    丸山貴明

    MARUYAMA Takaaki

    1983年生まれ。横浜市出身。武蔵野美術大学造形学部空間演出デザイン学科卒業。2009年より東洋美術学校 デザイン研究室所属。

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    中村将大

    NAKAMURA Masahiro

    1983年生まれ。福岡県出身。武蔵野美術大学造形学部空間演出デザイン学科卒業。朗文堂 新宿私塾修了。2009年より東洋美術学校 デザイン研究室所属。